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かばいたかしの『ビジネス経理』#15

か:かばいたかし
順:珈琲順太
ス:二度寝スヤ子

ビジネス経理 士業向けイラスト 茶谷順子

順&ス:『かばいたかしのビジネスぅ経理ぃ』!(エコー)

順:「こんにちは、週末の土曜日、いかがお過ごしですか?『ビジネス経理』ナビゲーターの『珈琲順太』です」

ス:「同じくナビゲーターの『二度寝スヤ子』です」

か:「メイン・ナビゲーターの『かばいたかし』です。宜しくお願いします」

ス:「前回の『ビジネス経理#14』は、起業・独立開業がテーマになっていました。今回はその続きです」

起業・独立開業に必要なモノって?

か:「前回、『世の中にでると意外にとんがった技術・スキルなど必要ありません。』という話をしました」

ス:「はい、ビックリしました」

か:「自分がたいしたことない思うことでも、意外に顧客にとってはありがたいことは多く、それは高度なものである必要はないのです」

ス:「起業や独立には、『何か特別な技能』がないと成功しないと思っていました」

か:「ただ、一方顧客側はそれを判断する材料がないですから、顧客が自分にたどり着くような仕組みづくりや集客マーケティングの方がはるかに重要なんです。この『仕組みづくり』と『集客マーケティング』は車の両輪で、本来これがないと、どうにもなりません。」

ス:「『集客マーケティング』! あちらこちらで、こういうセミナーやってますよね!」

順:「そういうセミナーの中には、自分自身がロクに集客できないのにセミナー講師やってるパターンもあるので、用心が必要です」

ス:「あるある(笑)」

か:「そうですね、『集客マーケティング』はよく強調されますが、これだけをやっていると、いわゆる食べていくレベルまでは到達できますが、自分の能力に頼っているのでワークライフバランスは最悪で長続きしません

順:「自分をキラキラにみせるストーリー作りとか、変に目立つ技法ばかりが強調されていますけど、『継続性』にも注目する必要があります!」

ス:「SNSで人脈づくりとか、自分を常にキラキラに発信とか、常にハイテンションに自分自身を鼓舞し続けるって、疲れます(> <)」

順:「もちろん、そういう方法が得意な方はそれで全然OKなんです! ・・・でもそういう方の実績を客観的に眺めてみると、あまり稼げていないケースも多いんです。それだけならまだ良いんですけど、外面はキラキラで立派だけど、ワークライフバランスは最悪で内面は無残、っていうケースに陥ってしまうのは悲しいです」

か:「ワークライフバランスは最悪で長続きしない・・・このようなステージの方が多いのは非常に残念です。『仕組みづくり』とは、私は『ビジネスモデルづくり』だと思っています。きっちりとしたビジネスモデルを創っていけば、自分のビジネスは安定的・継続的になっていきます。ビジネスモデルを確立することが非常に大切です。

「時間の管理」と頑張り疲弊

順:「私は、個人事業主としての独立・開業の場合は、自分自身の『時間の管理』能力が大事だと思います」

ス:「独立すると時間が自由になるので、朝寝坊とか、時間にだらしなくなりやすいってことですか?」

か:「あはは(笑)、仕事の納期が守られていれば、あとは全然OKじゃないんでしょうか?朝寝坊が出来るのは個人事業主の醍醐味だと思います!」

順:「個人事業主として独立する場合、必要とされる能力は会社員時代に求められていたものとほぼ同じです。営業、ビジネスマナー、事務処理etc」

ス:「そうなんですか?」

順:「はい、そうです。このため、時間の管理の仕方も会社員時代と同じ発想になってしまうんです」

道に迷う人。サボテンは教えてくれない。

順:「会社員時代は、組織の中の限定的な役割を担っていたので、特定の仕事に特化できたんです。そして時間割も他人が決めてくれていました」

ス:「就業時間や上司の命令ですね! そういう束縛がイヤだなと思う時も多いんですけど(笑)」

順:「独立したての人は、『休む時間』『健康な精神・体の維持』を軽視し過ぎです。体が資本という表面的な話ではなく、『ビジネスの継続』こそが『信用』を得ていくプロセスです。ところがお金への焦り・恐怖から『断るべき仕事』まで頑張ってしまおうとします

ス:「仕事を断るって、スゴイ勇気が必要だと思うんですけど・・・」

順:「お客側の視点にたってみましょう。個人事業主と会社、どちらに安心感がありますか?私は単発の仕事発注ならそれほど気にしませんが、継続した仕事発注になりそうな場合は個人事業主や一人会社への発注は避けます

ス:「仕事の出来に差があっても? 個人事業主だと、同業の会社より、きめ細かい対応でお安めの値段提供が出来ると思うんですけど・・」

順:「はい、多少仕事の出来が劣っていたり、値段が高くても・・・です。個人事業主や一人会社の場合は『継続性』が大変心許ないんです。健康的な問題での休業かもしれませんし、経済的な理由での廃業かもしれません。そういった『いつ無くなっているかわからない』リスクの高い発注先という認識を持っています」

か:「個人事業主では時間は有限。そうすると、『どれも自分でやろう』というのは不可能で、仮に無理して頑張っても、自己満足でしかありませんし、そう何度もそういう無理は続きません」

順:「それと、多くの人は独立時に『まず食べていけるだけの売上』が目標設定になっています。それは暫定目標で、その到達点で簡単に止まってはイケナイのです」

ス:「『まず食べていけるだけの売上』に到達できるだけでもスゴイと思うんですけど・・・。目標設定の目安ってあるんですか?」

順:「会社員時代と同じような仕事を独立してやるなら、社会保障(法定福利費の会社負担分)や有休制度などの消滅・低減による独立・開業に伴うコストを考えると、最低でも会社員時代の給与の2倍の売上を得られないと、経済的にはマイナスだと思います。3倍くらいで、やっと経済的には良かったな?と思えるんじゃないでしょうか

ス:「会社員時代の3倍・・・」

順:「独立の序盤は『夢を求める熱意・高揚感』で、少なめの収入や長時間労働も大丈夫です。時間が経過すると、低すぎる売上目標と長時間労働を『もっと頑張らないと』という精神論で乗り切ろうとして疲弊し、経済面より先に、精神的・肉体的疲労感に苛まれてビジネス継続が出来ない人がとても多いのです」

ス:「なんか悲しい・・・」

順:「『ビジネスを継続させる』という視点で考えると、時間もお金も無理なく続けるスタイルの追及が必須になります。これを無視して気合・情熱で乗り切ろうというのは、ただの自己憐憫です」

 

ス:「あ、そろそろお時間ですね。次週土曜日のビジネス経理#16をお楽しみに!」

注)このコラムは、セカンド・オピニオン株式会社様の2019年5月4日付けBlogの転載です。

茶谷順子 

イラストレーター活動歴28年。

手書き、デジタルともに、ほっこり気分にさせてしまう可愛いイラストが大得意。お寿司と素焼きアーモンドが好もっと詳しく